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抗うつ薬はうつ病に続発する炎症性腸疾患発症を抑制する


うつ病に罹患した場合には、腸内環境が悪化しやすくなり、過敏性腸症候群のみでなく、さらにクローン病や潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患が多くなることが指摘されています。


今回は、かなり以前の論文(2018年)になりますが、うつ病で抗うつ薬を服用するとその後の炎症性腸疾患発症に対してどのような影響があるのか調べた研究をご紹介します。


うつ病は炎症性腸疾患のリスクを高めるが、抗うつ薬の服用により減少する


カナダにおける研究で大規模な疾患データ(The Health Improvement Network: THIN) を用いています。


403,665人のうつ病罹患者が対象となり、抗うつ薬の服用やその後の炎症性腸疾患の発症について調べました。


結果として、以下のことが分かりました。

①うつ病に罹患していると炎症性腸疾患の発症リスクが高まる。(例:クローン病で2.11倍、潰瘍性大腸炎で2.23倍)

②SSRIやSNRI等の抗うつ薬を服用している場合には、炎症性腸疾患の発症リスクが軽減される。(例:クローン病についてSSRIでは0.63倍、三環系抗うつ薬では0.77倍)


つまり、“うつ病では2倍近く炎症性腸疾患になる確率が高まるが、それは抗うつ薬の服用で軽減する可能性がある”と言えそうです。


腸内環境と脳の働きの相互作用が注目されていますが、抗うつ薬はその作用の一部を修飾できる可能性が考えられました。


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