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抗うつ薬(SSRI)は「本当に」効くのか?


今さらの何を……という問いの設定であるかもしれませんが、三環系等の古いタイプの抗うつ薬は効果を認めるとしても、SSRI等の比較的新しいものは「本当に」効果があるのか? それは治療に対する期待感がもたらすプラセボ効果が大きいのではないか?


そういう意見が(少なくとも一部では)まだ根強くのこっているのです。


また、副作用と効果の関係について、脳の反応である副作用が強いほうが、その後の効果が大きいのではないか? そういう話も良く耳にします。(私自身もそのように説明することがあります)


今回は、この2つの問い(①SSRIは本当に効くのか? ②副作用が大きいほうが効果が大きいのか?)に答えようとしたかなり以前(2017)の分析結果をご紹介します。


副作用がない場合のSSRIの効果


代表的なSSRIであるシタロプラムとパロキセチンの効果に関する、15の研究(3,300人の参加者を含む)が分析の対象となりました。


結果として、以下の内容が示されました。

①SSRIは偽薬に対して明らかに(臨床的な意味があると思われる)効果の差を生んでいる。(イフェクト・サイズで、シタロプラムが0.48:効果大、パロキセチンが0.33:まあまあの効果)

②副作用がない場合でも効果は一貫しており、副作用の大きさと効果の大きさの関連は明らかではなかった。


つまり、“抗うつ薬SSRIは全ての人にではないが、かなり効果がある。効果は副作用の大きさとは関係がなさそうだ”ということです。


医学的証拠としては信頼性が高いと言われるこのような分析(メタ・アナリシス)でも誤った結論を生むことはあるので一概には言えませんが、現在入手可能な情報からは、SSRIの効果を信じて良さそうな結果でした。

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