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新薬(キサノメリン)の統合失調症に対する効果


統合失調症の治療薬にはほとんどのものにドーパミンと呼ばれる神経どうしの仲立ちをする物質の阻害作用があり、これが精神症状を治める効果をもたらすと同時に歩行障害や運動の不自然さ等の副作用の原因ともなります。


今回は、ドーパミンの阻害作用を持たない統合失調症治療薬(アセチルコリン受容体のアゴニストであるキサノメリン)の効果を確認した臨床試験(第2相)の結果についての論文をご紹介します。


統合失調症に対するムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストと末梢性のアンタゴニストの効果


キサノメリンは、アセチルコリン受容体に対する作用があることから、ドーパミンとは関連のない身体的な副作用(消化器系の副作用が主)が心配されます。


今回、試験の対象となっているのは副作用を軽減するためのトロスピウムとの合剤で、どのくらい副作用が軽減できているのかもポイントになります。


合計で182人の統合失調症患者がこの臨床試験に参加し、およそ半数ずつが、キサノメリン+トロスピウムの合剤、偽薬を服用し、5週間の症状経過を調べました。


結果として、以下の内容が示されました。

①PANSSという頻用される統合失調症の症状尺度(30~210の得点で、高い点数がより重症を意味する)において、合剤の方が偽薬よりも症状の改善が大きくなっていました。(得点の減少についての比較は、–17.9 vs –5.9)

②合剤において便秘・嘔気/嘔吐・口渇・食欲不振等、消化器系の副作用が多くなっていました。


つまり、今回の結果として“新しい合剤は統合失調症の症状改善に有効で、副作用は消化器系の副作用が中心である”ことが示されました。


鎮静や運動系の副作用がないことは大きなメリットなので、今後、統合失調症の治療薬として新しい選択肢となることが期待される内容でした。

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