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統合失調症に対する深部脳刺激の効果


統合失調症で、薬物による治療が効果を発揮しない場合、(一部の施設で投与可能な)クロザピンという薬剤が用いられたり、電気刺激が選択される場合があります。


さらに、現在選択可能なそれらの方法で改善を認めないこともあり、今回は深部脳刺激の効果を調べた研究をご紹介します。


治療抵抗性統合失調症に対する脳深部刺激


“治療抵抗性”の基準を満たし、クロザピンでも効果がなかった8人の統合失調症患者が対象となりました。


側坐核と前帯状皮質膝下部が刺激部位として選択され、半数の症例で6ヶ月刺激を続けた後に刺激を中止して、効果を確認するクロスオーバー法によるデザインが採用されました。


結果として、以下の内容が示されました。

①側坐核を刺激した3例中2例、前帯状皮質を刺激sた4例中2例は、改善の基準(PANSSスコアで25%以上の改善)を満たしました(1例では86%の改善)。

②クロスオーバーの段階に入って、刺激を中止した場合には全例で症状の悪化を認めました。

③身体的な副作用は認めませんでしたが、2例で失感情や気分の不安定さ等が出現しました。


つまり、“あらゆる治療で効果を認めなかった治療抵抗性の統合失調症でも、深部脳刺激で大きな改善を認めることがある”と言えそうです。


これはごく少数例での結果で、個人や刺激部位によって改善に大きな幅があり、今後、安全性や有効な刺激部位の選定などに多くの課題が残されている方法であると思われました。

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