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炎症に関連する物質の発現と脳の構造変化が、統合失調症の背景に存在するかもしれない


精神疾患の基礎として、炎症の存在や脳の様々な構造変化が指摘されてきました。


今回は、炎症に関連する物質(IL-1,2,6やCRP等)と脳の構造変化の関係や、統合失調症と脳における炎症関連物質の発現について調べた研究をご紹介します。


統合失調症や他の精神疾患における炎症と脳の構造変化


イギリスの大規模データ(UK Biobank)を用いた研究で、約2万人(平均55.5歳、52.3%が女性)が対象となりましした。


炎症に関連する物質(IL-1,2,6、CRP、BDNF)について、関連蛋白の発現と脳の構造変化との関連を調べました。


結果として、IL-6の発現レベルと脳(中側頭回、上前頭回)の灰白質体積・皮質厚が関連を示していました。


次に、死後脳について、脳の部位別の炎症性物質の遺伝子発現を調べました。


結果として、特に中側頭回(統合失調症や自閉症スペクトラム障害との関与で注目されている部位)でIL-6の遺伝子発現が多くなっていました。


つまり、“統合失調症や自閉症スペクトラム障害に関連する脳の部位で、IL-6(関連蛋白)の遺伝子発現が多くなっており、脳の構造変化と関連している可能性がある”と言えそうです。


いくつかの知見を合わせた結果としての推定ですが、統合失調症治療の新しいアプローチとして、期待される内容でした。

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