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睡眠薬の認知症リスクに関する用量や作用時間での違い


数日にわたって説明させて頂いたように、睡眠薬や抗不安薬(ベンゾジアゼピン類)の服用と認知症リスクとの関連については、様々な立場があります。


本日は、昨日の論文と同一著者のものではありますが、違ったやり方で睡眠薬や抗不安薬の高齢者への使用に関する危険性を検討した論文をご紹介します。


ベンゾジアゼピン類の使用とアルツハイマー病のリスク


カナダ(ケベック州)のデータベースを用いた研究で、アルツハイマー病の診断のある1,796人(66歳以上)が調査の対象となりました。


上記の対象者を、性別や年齢等の他の条件を合わせた健常者と比較したところ、以下のような内容が示されました。

①ベンゾジアゼピン類の使用経験がある場合の方が、1.51倍アルツハイマーになる割合が高くなっていました。

②合計の使用量が多いほど、アルツハイマー病発症のリスクは高まっていました。(もっとも使用量が多いグループでは1.84倍)。

③長時間作用型のベンゾジアゼピン類の方が、より顕著にアルツハイマー病発症リスクの上昇を認めていました。(短時間型1.43倍 vs 長時間型1.70倍)


つまり、最も良く使用される睡眠薬や抗不安薬であるベンゾジアゼピン類は、使用期間や使用量が多いほど、長時間型のほうが、アルツハイマー病発のリスクを上昇させるという結果になりました。


今までみてきたように、研究デザインや規模の違いにより証拠としての質に違いはありますが、それなりに信頼性の高い研究同士で睡眠薬の認知症発症への関与について異なる結果が得られており、まだ、一定の見解が得られた状態とは言えないようです。


#認知症 #睡眠薬

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