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精神病における猜疑心の基礎について


統合失調症等の精神病性の疾患では全般的な疑い深さ(猜疑心)が出現することがあります。


悪口を言われている、見張られている、盗聴されている(最近多いのはインターネットで情報を抜き取られる等)の被害妄想と結びつき、援助や治療の導入・維持にとっても大きな障害となることのある症状です。


今回は、このような猜疑心の基礎にはどのようなしくみがあるのか、脳の働きについて調べた研究です。


精神病早期における社会的な報酬に関する神経学的な仕組み


13歳~19歳の精神病(統合失調症)早期の22人、比較対照としての25人が調査の対象となりました。


相互交流的な信頼を試すゲーム(パートナーが協力的だったり、公正じゃなかったりする)でどのように脳が働いているのかを調べました。


両者の比較で、信頼の量自体は変わりませんでしたが、脳内での働きが違っていました。


通常、信頼するという決定を行う時に活性化する被殻(ひかく)と言われる部分が、精神病では活性化せず、その代わり右側頭頭頂接合部がより強く活動していました。


これらの部分は両方とも、生活の中で報酬に反応して活性化する部分で、いわゆる人間関係にとって大切な「心の理論」に関わる部位とも言われています。


論文中では、仮説として被殻の活動低下を補うために接合部が活性化し、それで結果的に信用の度合いは大きく変化せずに済んでいるのではないか、という旨が述べられていました。


このように精神的な現象の背後には脳の活動で把握可能な異常が存在する場合もあり、今回の研究も、より基礎の明確な疾患の理解につながる内容であると感じました。


#統合失調症

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