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自傷行為と母子間の感情表出


以前から、精神疾患の症状経過について、感情表出(expressed emotion: EE)との関連が指摘されてきました。


特に統合失調症の病状経過との関連についての研究が有名で、患者さんに対する批判的コメントの等が多い高EE(感情表出)だと、病状が悪化する頻度が高くなることが指摘されています。


今回は、自傷行為(nonsuicidal self-injury : NSSI)がある場合に、感情表出についてどのような特徴があるのか調べた研究をご紹介します。


A comparison of expressed emotion between mothers and their adolescent daughters with and without a history of nonsuicidal self-injury

母親と思春期の子で交わされる感情表出の自傷の有無による比較


自傷がある場合とない場合(他の症状で受診している子ども+健常な比較対照)を含めて、子どもは女子70人(12~20歳、平均15.28歳)、母親は24人(38~56歳、平均46.47歳)が研究の対象となりました。


話の内容を分析し、感情表出に関して、自傷なし(他の症状あり)や比較対照のグループとの自傷の有無による違いを調べました。


結果として、以下の内容が示されました。


・自傷がある子どもでは、他のグループよりも母親に対するEE(感情表出)が高く、批判的内容が多くなっていました。


・自傷のある子どもの母親においては、高EEの割合が高くなっていました(自傷のある母親50%、自傷のないが他の症状がある子どもの母親28.6%、健常対照群0%)。


要約:『自傷行為のある子どもの母子では特に感情表出が高くなりやすく、お互いに批判的感情を向ける傾向が高くなる』


原因と結果の関係までは分かりませんが、統合失調症の例で認められるように、高い感情表出が症状の維持に関連している可能性も考えられました。



もりさわメンタルクリニック:https://www.morisawa-mental-clinic.com/

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