top of page

非ドーパミン拮抗薬(SEP-363856)の統合失調症に対する効果


最近の統合失調症治療薬の傾向として、副作用を軽減するするためにドーパミンの拮抗作用を持たない薬剤開発が一つのテーマとなっています。


今回は、新しい治療目標である神経伝達物質の受容体:trace amine–associated receptor 1 (TAAR1) に対する作用を持つ新薬 (SEP-363856:開発途中の薬剤につけられる記号で示された名称)の試験結果をご紹介します。


非D2受容体結合薬の統合失調症に対する治療効果


およそ120人ずつの統合失調症罹患者が、新薬を服用するグループと偽薬を服用するグループに分けられました。


PANSS(良く使用される統合失調症の尺度で30~210点、高い点数が重症を意味する)の総得点を主な評価方法とし、4週間の経過を観察しました。


結果として以下の内容が示されました。

①新薬の方が症状の軽減が大きくなっていました。(偽薬との比較では–17.2 vs –9.7)

②新薬でドーパミン系の副作用(錐体外路症状)はありませんでしたが、1件の突然死と、傾眠や消化器系の副作用がありました。


つまり、“新薬(SEP-363856)は統合失調の症状軽減に有効だが、ド-パミン系以外の副作用を認める”といえそうです。


気になる事象も認められていますが、より多くの、長期間の検証で効果と安全性が確認できると、日常生活への影響が少なく効果の高い薬剤として期待できると思われました。

閲覧数:32回0件のコメント

最新記事

すべて表示
bottom of page