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高血圧治療薬が統合失調症のリスクと関連するかもしれない


身体疾患の治療薬が、気分の変動や精神病類似の症状と関連することがあります。


今回は、遺伝学的な方法を用いて、高血圧治療薬の精神疾患への影響を調べた研究をご紹介します。


高血圧治療薬の標的遺伝子と精神障害との関連


2つの大きな集団を対象としていますが、疾患ごとに述べると統合失調症4万人、双極性障害3万人、大うつ病3万人を含んでいます。


高血圧治療薬の効果と関連する遺伝子と精神障害のリスクとの関連を調べました。


結果として、以下の内容が示されました。

①ACEと呼ばれる高血圧治療薬の目標となる酵素の(発現)低下が、統合失調症のリスクと関連していました(1標準偏差分の発現低下でオッズ比が1.75倍上昇)。

②脳の前頭前皮質におけるACEの発現低下や脊髄液中のACE濃度の低下が、統合失調症のリスクの僅かな上昇と関連していました。

つまり、高血圧治療薬のしくみにあたるACEの阻害(働きにくさ)があると、統合失調症のリスクを上昇させる可能性がある、という示唆を含んでいます。


高血圧治療薬のしくみにあたる内容を遺伝子の発現レベルで代用して調査した研究ですが、血圧のコントロールのしくみと精神疾患とを結びつける、今後の検証の端緒となる内容であると思われました。

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