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高齢者では希死念慮が強くても、うつ病の基準を満たさないことも多い


自殺の理由には、経済・生活の問題、家庭の問題、学校の対人関係、健康問題等様々なものが考えられます。


精神疾患の中でも、うつ病や不安障害、パーソナリティ障害、統合失調症等、様々な疾患が背景となることがあります。


今回は自殺企図による救急受診者を対象として、年代でうつ病等の診断基準を満たす割合が異なるのかを調べた研究をご紹介します。


自殺企図によって救急を受診した高齢・中年・若年者における臨床的特徴


スウェーデンにおける研究で、821人の自傷による(後に自殺の意図がないと思わる場合を除外)救急受診者が研究の対象となりました。


参加者を年代別に示すと、18~44歳:423人、45~64歳:164人、65歳以上:96人となっていました。


これらの対象者について、自殺企図の尺度やうつ病・物質依存等を含んだ精神疾患の尺度を用いて、臨床的特徴を調べました。


結果として、65歳以上に関して以下のことが示されました。

①主観的な希死念慮で、若い年代よりもより高い尺度評価となっていました。

②重い身体疾患は多くなっていましたが、うつ病や物質依存等の精神疾患はむしろ低い割合となっていました。(高齢者でうつ病の基準を満たすのは約半数、より若い年代の4分の3に比較して少なくなっていました)


つまり、“高齢者では、自殺企図を起こすような強い希死念慮があっても、うつ病の特徴は若い年代よりも少ない”ことが示されました。


うつ病の尺度を用いた評価(うつ病の症状だけを尋ねる問診)だけでは、希死念慮の強い高齢者の危険性を見逃す可能性が考えられました。

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