
通常なら感情の変化が生じるような場合でも、感情が生じない状態を“アパシー(失感情)”と言います。
うつ病等の感情障害の他、認知症等でも認めることで知られています。
今回は、アパシーが他の症状や条件とは独立に認知症の初期症状として重要ではないか、という内容の研究をご紹介します。
地域で生活する高齢者におけるアパシーと認知症リスク
通常の地域で生活する認知症のない2018人(平均74歳、女性52.3%)が調査の対象となりました。
経過を長期間観察し、アパシーや認知機能の状態について調べています。
結果として、以下のような内容が示されました。
①アパシーが高度であるほど、認知症のリスクが高い傾向がありました(認知症が発症した割合について、アパシーが高度の場合: 25%、中等度: 19%、軽度: 14%)
②アパシーの与える認知症発症リスクへの影響は、他のうつ症状・遺伝的背景・脳血管障害の背景因子を調整しても明らかでした。
つまり、アパシー(失感情)はそれだけで、今後認知症が生じてくる大きな目印となり得るということのようです。
高齢者の診察ではうつ症状とは独立にアパシー(失感情)にも配慮し、その後の認知機能の変化を注視する必要性を感じました。
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