アルコールによる意識消失は認知症のリスクと関連する

各国で異なりますが、アルコールの摂取量に関するガイドラインが存在します。
そのように、アルコールのリスクを摂取量から考える発想は以前からあるのですが、今回は特にアルコールで意識を失ったことがあるかどうかで考えた研究をご紹介します。
アルコールによる意識消失、アルコール摂取量と認知症リスクの関連
イギリス、フランス、スウェーデン、フィンランドにまたがる10万人以上(18~77歳)が調査の対象となりました。
アルコールの全体消費量やアルコールに起因する意識消失の体験について調べ、認知症の発症について12~30年ほどの経過観察を行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
※アルコールの単位(ユニット)は国によって異なりますが、概ね缶ビール1缶で1.75ユニットです。
①アルコール摂取量が多いほど認知症のリスクは上昇していた(例として週に21ユニットを超えた摂取では22%のリスク上昇を認める)。
②アルコール摂取の量に関わらず、アルコール摂取に起因する意識消失があった場合には認知症リスクは2倍まで上昇する。
つまり、アルコールの量による影響は確かにありますが、それよりも急激な神経系への影響を示す体験の方が、アルコールによる認知症へのリスクを測る上で重要であるということのようです。
この意識消失につながるようなもっと他の因子があっての結果かもしれませんが、アルコールの影響を知るためには量だけでなく、飲酒体験の質にも着目する必要がありそうです。