
アルコール依存症に対しては、自助グループ参加による心理的な支援が有効なことが知られていますが、薬物療法に関しては効果が乏しいと考えられています。
今回は、薬剤抵抗性のうつに対する有効性が注目されているケタミンと、心理療法を併用する治療法の効果を確認した研究をご紹介します。
アルコール使用障害の治療における再発予防心理療法と補助的ケタミン投与の効果
アルコール使用障害に罹患している96人(35人が女性 平均44歳)が対象となりました。
対象者を、以下の4つのグループに振り分けました。
1)ケタミン注射+心理療法
2)生理食塩水注射+心理療法
3)ケタミン注射+アルコール教育
4)生理食塩水+アルコール教育
結果として、以下の内容が示されました。
①ケタミン注射を伴うグループのほうが6ヶ月の経過観察期間での断酒日数が多くなっていました(平均の差は10.1%)。
②最も差が大きかったのはケタミン+心理療法と、生理食塩水+アルコール教育のグループでした(断酒日数の平均の差は15.9%)。
つまり、“ケタミン注射に心理療法を加えた方法を用いると、一般的なアルコール教育だけよりも断酒日数が多くなる可能性がある”と言えそうです。
ケタミン注射のみよりも、心理療法を加えたほうが断酒を支える効果が期待できると考えられました。
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