様々な場面に対する不安・恐怖の中でも、多人数の前で話をすることに強い恐怖心を抱く“スピーチ恐怖症”で受診される方が多くいらっしゃいます。
日本のクリニックでは、そのような場面の前に臨時の投薬を行い、不安を軽減する方法が一般的と思われます。
今回は、行動療法としてそのような場面に自分を慣らしていく暴露療法(エクスポジャー)を仮想現実(VR)を用いて行う方法について、有効性を調べた研究をご紹介します。
スピーチ不安に対する自己誘導型VR暴露療法の有効性
アメリカの大学生を対象としており、特に公衆の面前で話すことに不安感が高い32人が研究に参加しました。
1回のセッションは20分でVRでのスピーチを体験します。聴衆の人数や反応の大きさ、スピーチの促し等は自分で調整できるようになっています。(プラグラムの映像)
結果として、以下の内容が示されました。
①それぞれのセッションの中で、参加者はより強い社会的恐怖に対面できるようになり、それは心拍数や自己申告の不安軽減と関連していました。
②治療終了後や1ヶ月後の評価でスピーチによる不安は改善しており、それはセッション内の不安軽減と関連していました。
つまり、“VRを用いた暴露療法(エクスポジャー)で、スピーチ恐怖症による不安は軽減し、スピーチに耐えられるようになる可能性がある”ということです。
今までにも一般的な心理療法として提案されてきた、イメージ(想像)による暴露療法を、もっと具体的に体感できるものとして利用できるとメリットが大きいと思われました。
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