定期的な運動は身体のみではなく、精神にとっても、脳機能の上でも、非常に良い効果を及ぼすことが度々指摘されています。
そういった意味では「運動(スポーツ)は精神に良い」ということについて、正しいと証明する強い根拠が存在します。
しかし、プレッシャーの生じる非常に高いレベルの競技的運動についてはそうでもないようです。
陸上競技選手における自殺願望(希死念慮)
スウェーデンにおける研究で、2011年から2017年に陸上競技チームに選出された402人が調査の対象となり、192人(47.8%)から回答が得られました。
結果として、自殺願望(希死念慮)に関して以下の内容が示されました。
①生涯の希死念慮(自殺願望)を抱いた割合は、15.6%(男性17.4%、女性14.2%)であった。
②希死念慮(自殺願望)の発生には、女性では性的虐待の存在(5.94倍)、男性では問題に対処する時に「回避」の方策を用いる傾向(1.51倍)が関連していました。
①の希死念慮の発生する割合が高いのか、判断に困るところがあるかもしれませんが、過去に行われた2014年におけるアメリカ陸軍で行われた調査の結果が13.9%であったことを考えると、高めの数値と言えそうです。
女性の場合は(一般人口でもそうですが)特に性的虐待が他の要因よりはるかに大きな影響を与えています。
アンケートの中では競技指導中の虐待等についての回答もあり、スポーツに携わる関係者全体として取り組まなくてはならない問題であるようです。
競技スポーツにおけるような高いストレス(身体的/心理的な高度のプレッシャー)は、(たとえトレーニング目的であっても)希死念慮を引き起こすような精神状態の悪化を引き起こす可能性を孕んでいることを念頭に置く必要があると考えられました。
#自殺
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