リスデキサンフェタミンによるADHDの認知遅延に対する効果
- もりさわメンタルクリニック
- 2021年7月12日
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子どものADHDに使われることのある中枢刺激性のある薬剤として、リスデキサンフェタミン(ビバンセ)があります。
今回は、リスデキサンフェタミンのADHDに認める認知遅延(理解のテンポの遅さ)に対する効果を調べた研究をご紹介します。
認知遅延と大人のADHDに関する、リスデキサンフェタミンの偽薬を対照とした試験
クロスオーバー試験という方法を採用した研究で、ADHDに罹患した38人の成人が研究の対象となりました。
ランダムに振り分けたグループの一方がリスデキサンフェタミンを服用し、次の期間で偽薬のグループと交代(クロスオーバー)して、両方のグループで偽薬との比較を行いました。
結果として以下の内容が示されました。
①ADHDの中核的な症状全体を調べた尺度(ADHD Rating Scale)において、リスデキサンフェタミンの方が偽薬よりも大きな改善を示しました。
②認知遅延を測定した尺度(Barkley Adult ADHD Rating Scale-IV SCT subscale)においても、リスデキサンフェタミンの方が大きな改善を示していました。
つまり、“リスデキサンフェタミンは大人のADHDにおいても明らかな効果を示し、認知の遅延にも改善を認める可能性がある”ことが示されました。
ADHDにおいては遂行機能の低下や理解のテンポの遅れ(これはタイプによると思われます)が実感されることがあり、このような症状に対しても薬物療法の効果が期待される内容でした。
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