
食事内容と認知能力やうつ症状との関連が指摘されていますが、その関連の背景にどのような仕組みがあるのかは、はっきりしていません。
今回は、脳の中で海馬と呼ばれる部位の体積と食事内容との関連を調べた研究をご紹介します。
西洋的食事と海馬の体積減少
研究の開始時点で60~64歳の255人が研究の対象となりました。
食事内容の調査とMRIによる脳の画像検査を4年の間隔をあけて行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
①健康的な食事パターンの程度が1標準偏差分高くなると45.7 mm3 だけ左側海馬の体積が増加する。
②不健康な(西洋式の肉食や精製した糖分や穀類を中心とする)食事パターンの程度が1標準偏差分高くなると 52.6 mm3だけ左側海馬がの体積が減少する。
つまり、不健康な食事が認知症やうつ症状に影響を与える背景として、このような脳の体積への影響があるのではないか、と推測されました。
現在のところ直接的な因果関係は不明ですが、不健康な食事パターンによる何らかの栄養障害が、脳の構造的変化を及ぼし、認知症や気分障害の原因になっている可能性について考えられました。
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