
自閉症スペクトラム障害(ASD)は、通常、発達歴と行動上の特徴を総合的に判断して診断しますが、診断の境界をどのように設定するか苦慮する場合も多く経験します。
一応診断基準があっても、どのような特徴がどの程度存在することをもって診断の根拠とするか、専門家によっても差があり、混乱をもたらしている側面があります。
このような事態により、診断が遅れたり過剰な診断がなされたりして、適切な対応や治療の妨げとなることが考えられます。
今回は、数値で分かる生物学的な検査で自閉症スペクトラム障害が診断できないか調べた研究をご紹介します。
自閉症のリスクを評価する代謝からのアプローチ
18~48ヶ月の708人の児が対象となり、空腹時の血液を採取しました。
その結果34の血液中の代謝物質の割合(特に乳酸やピルビン酸・コハク酸等の割合)により、タイプ分けがなされました。
これらの血液検査と他の検査(いわゆる“スクリーニング・バッテリー”)を組み合わせ、最適化したところ、感受性が53%、特異度91%の結果となりました。
つまり、半数近くの自閉症スペクトラム障害は掬い取ることが可能で、実際に自閉症スペクトラム障害ではない場合にはかなりの高確率で陰性と判定できることになります。
まだ、実際に使用するには難しい確率だと思いますが、今後の診断能力向上や治療法につながることが期待されます。
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