妊娠中の様々な化学物質・薬物への暴露が、胎児の神経発達に影響すると言われています。
今回は、妊娠中のベンゾジアゼピン類(抗不安薬や睡眠薬)への暴露とその後のASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠陥多動性障害)の発症について調べた研究をご紹介します。
Association of Prenatal Exposure to Benzodiazepines With Development of Autism Spectrum and Attention-Deficit/Hyperactivity Disorders
出生前のベンゾジアゼピン類への暴露とASD・ADHDの関連
台湾における研究で、1,516,846人(52.0%が男性)の14歳未満の子どもが対象となりました。
ベンゾジアゼピン類への出生前暴露(妊娠中に母親がベンゾジアゼピン類の服薬をしたか)とASD・ADHD発症との関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・妊娠期間中の全経過を通して、ベンゾジアゼピン類への暴露とADHD発症とが関連を示していました(例:妊娠初期でハザード比1.24倍。妊娠中の時期による大きな差はない)。
・同様にASD発症とも関連を示していました(例:妊娠初期でハザード比1.13倍。妊娠中の時期による大きな差はない)。
要約:『妊娠中にベンゾジアゼピン類を使用すると出産した児のADHD・ASDの発症がわずかに増える可能性がある』
後ろ向きのコホート研究と呼ばれる研究デザインで、あまり確かなことは言えないかもしれませんが、服薬が神経発達に何らかの影響を与える可能性が考えられました。
また、主な結果ではありませんが、兄弟間での差異がない点も、遺伝的影響の方が大きいことを示唆するものとして気になりました。
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