幼年期の子どもに睡眠障害が出現する時、精神的なストレスの影響や環境的要因を考えることがあります。
今回は、幼年期に現れた睡眠障害の経過と、それから後(10~11歳)における生活の質との関連を調べた研究を紹介します。
Longitudinal sleep problem trajectories are associated with multiple impairments in child well‐being
幼年期の睡眠障害に関する時間的経過と子どもの生活における多様な障害
出生時に集められた5,107人の子どもが対象となり、その後の経過を観察しました。
幼年期~児童期にかけての睡眠障害と児童期(10~11歳)の機能や生活の質について調べました。
児童期に調べた内容は、感情や行動上の機能(内向/外向性の症状、自己制御)、健康に関連する生活の質、認知的スキル、学業成績を含んでいました。
全体として幼年期から児童期にかけての睡眠障害の経過は、児童期の機能低下や生活の質の悪化と明らかに関連していました。
最も影響が大きかったのは、睡眠障害の経過のうち、睡眠障害が「ずっと続くタイプ」(全体の7.7%)で、影響は認知的スキルの「知覚推理」以外の全てにわたっていました。
他にも児童期にかけて「悪くなっていくタイプ」(17.0%)では、多様な精神症状が出現し、生活の質が悪化していました(学業成績への影響は少ない)。
以上のように睡眠障害の経過によって、影響の出方は様々ですが、概して早期に睡眠障害の存在に気づき、影響を与えている要因について検討する必要性を感じさせる内容でした。
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