発達早期における家族の機能低下が、後々まで精神衛生に影響を及ぼすことが指摘されてきましたが、それがどのようなしくみで起こるのかは分かっていません、
今回は、家族機能低下⇒脳の構造変化(海馬の萎縮)⇒精神状態への長期的影響、という仮説を立てて、関連性を調べた研究をご紹介します。
妊娠期からの家族機能低下と思春期の行動との関連
画像データの得られた2583人の子ども(平均10.1歳、1315人が女性)が研究の対象となりました。
父母から子どもの出生前における家族機能について情報を得て、脳の構造的変化、行動上の問題との関連を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①家族機能の低下があった子どもでは思春期前における脳の構造的変化(海馬と後頭葉の体積低下)が多かった。
②思春期前の脳の構造変化は部分的に(幼少期の問題行動について調整した後でも)同時期の問題行動と関連していた。
つまり、遺伝的要因について調整した後でも、妊娠前からの家族機能低下が脳の構造変化を引き起こし、これが長期に渡って行動上の問題につながるのかもしれません。
生物学的な原因以外でも脳の構造変化が起こり、これが子どもの長期的な精神衛生に影響を与えている可能性が考えられました。
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