心拍の変動を調べることでうつ状態を評価する

うつ病では不眠・食欲低下・下痢・便秘・体温上昇・疼痛等、多彩は自律神経系の症状が認められます。
今回は、自律神経系の機能を捉える心拍変動 heart rate variability (HRV)とうつ病の状態の関連を調べた研究(2019)をご紹介します。
Heart Rate Variability as Indicator of Clinical State in Depression
うつ病の臨床的評価指標としての心拍変動
抗うつ薬を投与されていないうつ病患者62人と比較対照としての健常者65人が研究の対象となりました。
抗うつ薬開始1~2日前と開始2週間後の心拍変動を調べ、うつ病の臨床的状態と心拍変動との関連を調べました。
結果として、心拍変動による指標は、うつ病と非うつ病、または個人内でも抗うつ薬開始前で変化していました。
つまり、“心拍変動を記録することによって得られる生物学的指標は、うつ病の重症度と関連し、臨床的評価に役立つ可能性がある”と言えそうです。
病状の把握では詳細な問診が大切であると考えられますが、このような客観的指標が得られると、症状評価がより正確に行えるかも知れないと考えられました。