今までにPTSDと心臓疾患の関連については多くの指摘があり、悪夢はPTSDの一つの症状として扱われるため、悪夢と心臓疾患との直接的な関連について触れられることはあまりありませんでした。
今回は、PTSDの影響を調整して、悪夢と心臓疾患との直接的な関連について調べた研究をご紹介します。
悪夢: 独立した危険因子
退役軍人の3,876人(平均38歳)が研究の対象となり、31%はPTSDの基準を満たしていました。
悪夢について、心的外傷に関する尺度: Davidson Trauma Scale (DTS)が用いられ、週に少なくとも2~3回で「しばしば frequent」と表現されました。
結果として、以下の内容が示されました。
①「しばしば」の悪夢が33%の参加者に認められていました。
②疾患の例として、心機能の問題(6%)、糖尿病(6.6%)、動脈硬化(0.5%)、高血圧(29.2%)、脳卒中(0.7%)、心臓発作(1.2%)がありました。
③上記のうち、心機能の問題、高血圧、心臓発作について、PTSDの有無を調整した後でも、悪夢の影響を認めました。
つまり、“悪夢はPTSDの有無とは無関係に、直接的に循環器疾患に影響を与えている可能性がある”と言えそうです。
悪夢は、精神疾患においては主訴となり得る症状の一つですが、身体的な影響にも注意したいと思いました。
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