抗精神病薬の経口剤から持効性注射剤への変更で死亡率が低下するか?


抗精神病薬と呼ばれる、幻覚・妄想への効果があり、最近は気分安定のためにも使用されることの多い薬剤があります。


統合失調症に用いられる場合には特に薬剤の血中濃度を安定させることが重要であるため、経口の薬ではなく、1回の注射で数週以上効果が持続する持効性注射剤が用いられることもあります。


今回はこの治療の初期に経口剤から持効性注射剤へ変更した場合、その後の死亡率にどのような影響を与えるか調べた研究をご紹介します。


Comparison of Long-Acting Injectable Antipsychotics With Oral Antipsychotics and Suicide and All-Cause Mortality in Patients With Newly Diagnosed Schizophrenia

新規診断の統合失調症患者における持効性注射剤(以下、注射剤と記載)と経口剤の死亡率


台湾における全国の疾患データを用いた研究です。


新たに発症した統合失調症で、経口剤から抗精神病薬注射剤へ変更した2,614人と他の条件を一致させた経口剤使用を続けた2,614人の死亡率を分析しました。


およそ16年間の経過観察で、結果として以下の内容が示されました。

①全体の死亡率は注射剤の方が低くなっていました。(ハザード比0.66)

②自殺企図が起こる割合も注射剤の方が低くなっていました。(0.72倍)

③特に経口剤開始から2年以内に注射剤に変更した場合には自殺による死亡率が47%低下していました。


つまり、“治療開始から早期に経口剤から注射剤に変更すると、特に自殺関連の死亡が低下する”ことが示唆されました。


この結果については、多くの付随する要素の検討も要する思われます。極端な解釈や治療方針への影響は避けたいと思いました。

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