結核に使われる抗生剤であるD-シクロセリン(商標名セロマイシン)が不安を基調とする精神疾患に効果があると言われています。
何もせずに服用して効果があるというわけではなく、いわゆる「暴露療法」(苦手なことに敢えて接して症状の軽減を図るやり方)の効果を増加するという役割が期待されています。
今回は、この抗生剤の効果を調べた多くの研究をまとめた分析(システマティック・レビュー)をご紹介します。
不安、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害に対する暴露を基礎とする認知行動療法のD-シクロセリンによる効果増強
1,047人の参加者を含む21の研究が分析/統合の対象となりました。含まれるのは不安を共通の症状として持つ精神疾患で、不安障害、強迫性障害、心的外傷後ストレス障害が含まれます。
D-シクロセリンと暴露療法を組み合わせた場合には、単に暴露療法を行った時よりも効果が大きくなっていました。
ただし、暴露療法の実施前から実施後まで服用した場合には効果の増強があったのですが、他のタイミングでは増強は明らかではありませんでした。
また、増強の幅は小さく0~100の尺度で、その差は僅か3点程度で、これが臨床的にどの程度意味を持つのかは分かりにくくなっています。
これらの結果は複数の研究を統合するときの処理に影響される部分もあるので、今後より明確な結果が得られると効果の現れる条件が分かる可能性が考えられました。
#不安障害 #強迫性障害 #心的外傷後ストレス障害 #暴露療法
先ほど、メールフォームで質問したものです。ここでコメントすればよかったですね。すみませんでした。私は、社交不安障害(対人恐怖症)でも悩んでいます。セロマイシンは社会不安障害の適応を得るにはまだ時間がかかるのでしょうか?