高度のうつ症状に対して複数の薬剤が効果を認めなかった場合、“治療抵抗性うつ病”と言われることがあります。
治療抵抗性うつ病に対しては、反復経頭蓋磁気刺激療法(rTMS)等の物理的刺激やケタミン等の薬剤(抗うつ薬以外)を用いるなどの試みが行われていますが、日本ではまだ治療の選択肢が限られているのが現状です。
今回は、治療抵抗性うつ病に対するケタミンの臨床的効果を比較的規模の大きな集団で確認した研究をご紹介します。
Clinical Effectiveness of Intravenous Racemic Ketamine Infusions in a Large Community Sample of Patients With Treatment-Resistant Depression, Suicidal Ideation, and Generalized Anxiety Symptoms: A Retrospective Chart Review
治療抵抗性うつ病に対するケタミンの臨床的効果
複数のクリニックにおいて、治療抵抗性うつ病に対するケタミン静注の治療を行った424人が研究の対象となりました。
21日間で6回の静脈注射(40分間、0.5 mg/kg)を行い、症状尺度(PHQ-9等)を用いて効果を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
・6週間以内での治療反応率は50%、寛解率は20%となっていました。
・10回の静脈注射を終えた後の治療反応率は72%、寛解率は38%となっていました。
・6週間以内で、自傷・自殺に対する念慮は50%の低下を認めました。
要約:『(クリニックで実施された治療のデータでも)ケタミンの治療抵抗性うつ病に対する即効性が確認された』
一定の副作用はあるものの、治療抵抗性うつ病に対する有効性は大きく、日本での認可が期待される内容でした。
もりさわメンタルクリニック:https://www.morisawa-mental-clinic.com/
rTMS治療:
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