出産後数週から生じることが多いとされる「産後うつ」は通常のうつとは異なるしくみで生じると言われています。
現在のところ、通常の抗うつ薬で治療されることが多く、それも有効なのですが、もっと産後うつに的を絞った薬剤( Zuranolone ズラノロン)が登場しそうです。
産後うつに対するズラノロンの効果
薬剤の有効性を広く調べる第3相試験と呼ばれる臨床試験に関する論文で、産後6ヶ月以内のうつ症状がある153人(平均年齢28.3歳)が試験の対象となりました。
対象者の半分ずつを実薬(ズラノロン)と偽薬とに分けて、ズラノロンは1日1回30mgを2週間投薬してその効果を調べました。
結果として以下の内容が示されました。
①服用開始15日の評価でズラノロンが明らかに大きな効果を示していました。(23点以上が最重症とされるHAMD-17という尺度でズラノロン−17.8 vs 偽薬−13.6)
②上記のような効果の差は治療開始から45日後でも維持されていました。(ズラノロンの方が4.1点低いという差)
③他の評価でもズラノロンに有利な結果となっており、例えば寛解(大きく症状が軽減した状態)はズラノロンの方が高い割合で起こっていました。(ある事象の起こりやすさの指標:オッズ比2.53)
つまり、“新しい産後うつ用の薬(ズラノロン)は、早く効いて効果が持続しやすい”と言えそうです。
通常、抗うつ薬の効果は2~6週間確かめる必要があると言われていますが、この薬剤については2週間でグループ間の明らかな差を認めています。今後の臨床試験での検証が期待される内容でした。
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