触法行為(法律に抵触する行為)を行った人が、特に精神病性の精神疾患(psychosis)を有する場合、その再犯を防ぐ上で通常の場合とは異なる多くの援助を要することが予想されます。
今回は、触法行為を行ってから早期に精神保健サービスへの接触を行った場合とそうでない場合とで、再犯率や関連する要素を調査した研究をご紹介します。
精神病性疾患に罹患した個人の触法行為後における精神保健サービスへの早期接触と再犯率の関連
7,030人の精神病性疾患を伴う触法者(男性70.2%、平均34歳)が調査の対象となりました。
触法行為のあった後30日以内に精神保健サービスへの接触があった場合とそうでない場合で、その後2年間の再犯率を比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①女性では大きな違いがありませんでしたが、男性では再犯リスクが低下していました(0.83倍)。特に5回以上の精神保健サービスへの接触があった場合は30%程度リスクが低下していました。
②再犯の増加と特に関連があったのは低年齢(18歳未満であった場合、男性の再犯率3.31倍、女性では2.60倍)、それまでの触法歴 (過去の触法が4回以上であった場合、男性の再犯率2.28倍、女性では2.22倍)。
つまり、触法者の多くを占める男性で、早期に援助機関への接触があった場合の方が、その後の再犯を減少させることができる可能性があると思われます。
ただし、これは早期に精神保健サービスへに援助を求める場合、元々それだけ動機や認識(病識)が強かったために再犯率が低くなっている可能性も考えられ、単に接触を早期に行えば再犯率が減るという解釈は難しいように感じました。
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