統合失調症のような幻覚・妄想等の症状と大きな気分変動を伴う疾患について、“統合失調感情障害”という診断を行うことがあります。
今回は抗精神病薬という治療の中心的薬剤に関して、種類や併用薬による効果比較を行った研究をご紹介します。
統合失調感情障害に使用される薬剤の臨床現場における長期的効果
スウェーデンとフィンランドの全国的な疾患データを用いた研究で、フィンランド7,655人、スウェーデン7,525人が対象となり、平均11.2年の経過観察を行いました。
結果として、以下の内容が示されました。
①クロザピンと持効性注射剤は治療上の不成功(入院・他剤への変更・死亡)が少なくなっていました。
②抗精神病薬と気分安定薬の併用では、抗精神病薬単独よりも入院が少なくなっていました。(スウェーデン0.76倍、フィンランド0.84倍)
③抗精神病薬と抗うつ薬の併用では、スウェーデンにおいてのみ入院が少なくなっていました。(0.90倍)
つまり、“クロザピンと持効性注射剤は治療が成功する可能性が比較的高く、併用薬としては気分安定薬の意味がある”と言えそうです。
気分障害を伴わない統合失調症よりも、治療薬の構成が複雑になりやすい疾患と思われますが、治療的意義を考えて薬剤選択を行うべきであると思われました。
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