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統合失調症、抗精神病薬、喫煙との関係

執筆者の写真: もりさわメンタルクリニックもりさわメンタルクリニック

統合失調症の患者さんが喫煙者であった時、タバコの本数が非常に多くなることがあります。


これには、統合失調症による認知的変化も関与していると思われますが、治療に使われる抗精神病薬の薬理によるしくみも想定されています。


今回は、統合失調症の治療薬が、どのようなしくみを介して、喫煙に影響を与えるのか調べた研究をご紹介します。


ドーパミンD2受容体拮抗薬がニコチンによる報酬強化の過程を阻害する


184人の統合失調症に罹患している喫煙者が調査の対象となり、服用している抗精神病薬の強さ(ドーパミンD2受容体の拮抗作用)によってグループ分けされました。


報酬による効果がどれくらい影響を受けるか測定するテスト(probabilistic reward task :PRT)で、喫煙の有無、薬物の強さによる違いを調べました。


結果として、抗精神病薬によるドーパミンD2受容体の拮抗作用が強いほど、ニコチンが持っている報酬による効果を阻害し、これがさらに喫煙を求めてしまう行動に影響しているのではないかと推定されました。


統合失調症に罹患された方たちの身体的健康を維持する上で、過剰な喫煙の問題は大きく、このようなしくみが分かることにより、より有効な対策がとれるようになることが望まれます。


#統合失調症


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