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統合失調症と脳の形態的特徴との遺伝的関連


統合失調症において、多くの遺伝子に関する特徴や脳の形態的変化が指摘されてきました。


しかし、それぞれは少しずつ統合失調症の発症に関与しているように思えても、決め手と言えるような大きな影響を与えているわけではないということも分かってきました。


今回は、これらの遺伝子的特徴や脳の形態的変化がどのように統合失調の発症と関連しているのか大規模なデータで調べた研究をご紹介します。


統合失調症発症と脳の皮質面積、皮質厚に関する遺伝子的関連


大規模な遺伝的情報を含むデータ( Psychiatric Genomics Consortium and CLOZUK: 105 318人やUK Biobank: 33 735人) を分析の対象としました。


統合失調症発症に関する遺伝的リスクと脳の形態的変化とがどの程度重なるかを分析しました。


結果として、統合失調症発症に関連する遺伝子と脳の形態的特徴(皮質面積や皮質厚の低下に関連する遺伝子)とは多くの関連を示していました。


例えば、多くの単一塩基変異(遺伝子情報における一つの信号の変化)に関して、脳皮質の変化 (1966 of 2101 [93.6%]) や皮質の厚さ(1322 of 1363 [97.0%]) が統合失調症の発症と関連を示していました。また、これらの関連は特に免疫に関連する遺伝子領域で多く認められる傾向がありました。


つまり、“多くの遺伝子的特徴において、脳皮質表面の面積や厚さと統合失調症発症とは関連を示しており、特にこの関連は免疫に関する領域で認められる”ということのようです。


複雑で原因のつかみにくい統合失調症発症のしくみを理解する上で、手がかりを提供する可能性のある研究であると思われました。

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