(疾患発症への影響などは不明ですが)多くの統合失調症患者でビタミンDが不足していることが指摘されています。
今回は、統合失調症の初期にビタミンDを投与することで、症状の改善が得られるのかを調べた研究をご紹介します。
初期精神病におけるビタミンD投与の効果
イギリスにおける研究で、18~65歳の発症から3年以内の精神病性疾患罹患者(概ね統合失調症患者)149人(平均28.1歳)が研究対象になりました。
ビタミンDを投与するグループとしないグループに、ランダムに振り分けを行い、6ヶ月後の精神症状の変化を調べました。
結果として、精神症状全体・陽性症状(幻覚や妄想など)・陰性症状(感情鈍麻や無為自閉など)・生活上の機能評価・うつ症状のいずれにおいても明らかなグループ間での違いは認められませんでした。
ビタミンDが不足している患者は(特に黒人において)多く、ビタミンDの値は改善していましたが、それらと精神症状への効果は関係ないようでした。
つまり、“統合失調症などの精神病性疾患において、発症の比較的早い時期にビタミンDを補っても精神症状の改善にはつながらないようだ”ということです。
投与時期や投与量・ビタミンDの不足の程度・精神病性疾患のカテゴリー(診断分類や症状のタイプ)等、様々な条件が考えられるので、これで一概にビタミンDの有効性が否定されるわけではないと思われますが、少なくともまだ広い範囲の精神病性疾患で有効であるとは言えないようです。
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