これまでにも居住地域の緑地と、精神疾患(状態)との関連性が指摘されてきました。
今回は、女性を対象として居住地域の緑地と認知能力との関連を調べた研究をご紹介します。
中年女性における居住地域の緑地と認知機能
看護師を対象とした健康関連の調査Nurses’ Health Study II のデータを用いた研究で、
平均61.2歳の女性13,594人が対象となりました。
対象者の居住している地域における緑地の多さ(衛星からの映像データ)とインターネット上で行われた認知機能検査の結果について関連性を調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①全体的な認知機能(global Cogstate composite)と精神運動速度・注意機能は、(教育や社会経済的な要素を調整した後でも)緑地が多いほうが高くなっていました(例:全体的な認知機能の平均スコアの差0.05)。これは経年による認知機能低下に換算すると、1歳の違いに相当していました。
②学習能力やワーキングメモリに関しては、緑地の多さとの相関を認めませんでした。
つまり、“認知機能の一部には、居住地域の緑地の多さと関連する領域が存在するかもしれない”と言えそうです。
全ての影響する要素が調整できたのか、1歳分の差異をどのように評価するかは微妙かもしれませんが、全体的な認知機能に居住地域の環境が影響する可能性が示されていました。
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