自閉症スペクトラム障害においては自己に対する認識の障害があると言われています。
今回は、脳波を用いて自分や他者の顔に対する反応を客観的に調べた研究をご紹介します。
自閉症スペクトラム障害における自分の顔に対する注意偏向の障害
自閉症スペクトラム障害22人と定型発達と考えられる22人が研究の対象となりました。
脳波を測定しながら、自分の顔、知っている他者の顔、知らない人物の顔を見せ、その時の脳波電位を比較しました。
結果として、以下の内容が示されました。
①定型発達では、自分の顔を見た時に特に大きな電位(P3の部位)が発生し、自己の顔に特別な反応を示した。
②自閉症スペクトラム障害では自分の顔を見たときと、知っている他者を見た時の、脳波の反応が変わらなかった。
つまり、“自閉症スペクトラム障害では、自分の顔を見た時に定型発達で認めるような特に注意を向けるような脳の反応がないのかもしれない”ということです。
自閉症スペクトラム障害で、しばしば経験される“自他の区別の難しさ”と関連する可能性が考えられました。
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