睡眠導入剤のいわゆる“Z薬”(Zを頭文字とするゾルピデムやゾピクロン等)は、以前から副作用や依存性の点で問題が多いとされているベンゾジアゼピン系に比較して、高齢者でも危険性が低いと言われてきました。
今回は、睡眠導入の“Z薬”について、認知症患者に使用した場合の副作用を調べた研究をご紹介します。
認知症患者の睡眠障害に対する“Z薬”の副作用について
イギリスのデータベースを用いた研究で、認知症患者で“Z薬”を処方されている3,532人や比較対照のグループを含む、全体で27,090人が調査の対象となりました。
認知患者の中で、睡眠薬を使っていないグループやベンゾジアゼピン系の薬剤を使っているグループ等との比較を行いました。
結果として、“Z薬”に関して以下の内容が示されました。
①転倒による骨折等の副作用について、睡眠薬を使っていないグループに比較すると明らかな増加を認めました。(例として、 骨折1.67倍、大腿骨頸部骨折1.96倍)
②骨折などの副作用について、ベンゾジアゼピン系の睡眠薬を使用しているグループとの明らかな違いはありませんでした。
上記の結果から考えると、比較的筋弛緩作用が弱く安全とされてきた“Z薬”でも、(特に認知症患者に用いた場合には)ベンゾジアゼピン系とほぼ同等の危険性があると認識した方がよさそうです。
#認知症 #睡眠薬
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