精神科・心療内科では、睡眠に関する症状として、入眠困難や中途覚醒以外にも、悪夢の訴えを認めることがあります。
今回は、頻繁に悪夢を認めた場合に、パーキンソン病の発症リスクがどのように異なるのか調べた研究をご紹介します。
不快な夢とパーキンソン病の危険性
アメリカにおける研究で、研究開始時にパーキンソン病のない67歳以上の男性3,818人が対象となりました。
研究開始時に悪夢の頻度を含めた調査を行い、その後平均観察期間7.3年で悪夢の頻度によるパーキンソン病発症リスクの違いについて調べました。
結果として、以下の内容が示されました。
①観察期間全体では、頻繁な悪夢があった場合、パーキンソン病の相対的なリスクは約2倍になっていました(オッズ比2.01)。
②観察期間を最初の5年に限定すると、頻繁な悪夢があった場合、パーキンソン病の相対的なリスクは約3倍になっていました(オッズ比3.38)。
つまり、“高齢男性における頻繁な悪夢はパーキンソン病の前兆である可能性がある”と言えそうです。
悪夢のみで、鑑別にパーキンソン病があがるということではないかもしれませんが、頻繁な悪夢があったときに一応神経症状についても詳しく尋ねる必要性を感じました。
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