
腸内環境と精神状態との関連が指摘されることがあります。
腸内細菌叢による神経伝達への影響について議論がありますが、はっきりした因果関係は分かっていません。
今回は、腸内環境への影響が大きいとされる食物繊維について、うつ病の有病率との関連を調べた研究をご紹介します。
閉経前の女性における食物繊維摂取とうつ病との逆相関
韓国における研究で、閉経前の女性2949人(平均36.23歳)と閉経後の女性2868人(平均62.73歳)が調査の対象となりました。
1日分の食事内容を想起してもらう方法で調査し、うつ状態の尺度としては、頻用されるPHQ-9という質問票が用いられました。
結果として以下の内容が示されました。
①閉経前の女性ではうつ病のない場合のほうが食物摂取が多くなっていました。(うつ病のない場合とある場合の順で、1000kcalあたり14.07g vs 12.67g)
②閉経後の女性ではうつ病のない場合とある場合で差がはっきりしませんでした。(1000kcalあたり16.43g vs 15.33g)
つまり、食物繊維を多くとっている場合のほうがうつ病が少ない傾向があったが、大きな差は閉経前の女性に限定されていた、ということのようです。
BMI等の随伴する要素については調整されていますが、気分の状態によって食事の様式が影響を受ける可能性も考えられ、因果関係をどのようにみるか微妙な結果であるように思われました。
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