高齢者の不眠は、加齢に伴う睡眠リズムの乱れとしてそのまま経過観察されることがあります。
今回は、高齢者の睡眠障害に対して認知行動療法を行った場合の効果について、うつ病予防の観点から確認した研究をご紹介します。
不眠を伴う高齢者におけるうつ病の発症と再燃予防
不眠を伴う高齢者291人(平均70.1歳 168人が女性)が対象となりました。
不眠に対する認知行動療法を行うグループと比較対照として睡眠に対する教育を行うグループに分け、3ヶ月間の経過を調べました。
結果として、以下の内容が分かりました。
①うつ症状が生じていた割合は認知行動療法で12%、一般的な睡眠教育で25.9%となっていました(ハザード比0.51)。
②不眠が寛解していた割合は認知行動療法で26.3%、睡眠教育で19.3%となっていました。
つまり、“不眠に特化した認知行動療法を行うと、一般的な睡眠教育よりもうつを予防する効果があるかもしれない”と言えそうです。
高齢者の不眠に対しても、薬物療法以外に睡眠に対する心理的アプローチを行う必要性を感じました。
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