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男女で違う「うつ病」の変化


最近よく聞く医療関連の話題に「オーダーメード医療」という言葉があります。

広辞苑では「疾患に関する遺伝子情報を解析し、個人にあった治療法を選択・実施する医療」とあるのですが、実際には同じ病気でどのくらい治療の内容を変える必要があるのか不明な点も多く残されています。

同じ「うつ病」と診断される状態なのに、「こんなに違うのか!」と思うところがあったのでご紹介します。

特に印象的だったこととして、「神経のつなぎ目の調整に関連する遺伝子の活動(発現)が男性では減り、女性では増えていたこと」、それから「(炎症などの際に活躍する)免疫系の遺伝子の活動が男性では増え、女性では減っていたこと」があります。

細かく読んでいくと「なんのこっちゃ?」というところもあるのですが、とにかく良く知られた「うつ病」という精神疾患でさえ、男女間で全く異なることが起きている可能性があるということだと考えられます。

「異なることが起きているなら、異なる治療が必要でしょ?」

と考えるのが当然ですし、論文の中でもこのような差異に対応した治療が必要である可能性について示唆されています。しかし、実際どのように治療を変えるのかという部分への距離はまだまだ遠いという現実があります。

実際に今行われている治療は、男女間に限らず、個人の間で異なる状態の、共通する一部を切り取って、その部分に対応しているのに過ぎないのかもしれません。

普段の治療の中でも、同じ薬を飲んでもらったのに、全然違うことが起きるということを経験します。今のところ、こうした現象からブラックボックスの中で起こっていることを想像し、その方に合う治療を丁寧に模索していくしか方法がないのかもしれません。また、このような経験が、研究の内容と一致するときに根拠のある治療方針として確立される可能性が出てくるのだと思います。

「オーダーメード医療」の実現にはまだまだ距離があるにしろ、日々の治療上の細やかな努力がその基礎になることを信じています。

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