本のご紹介をします。
簡単に言えば、精神療法家の心構えを説く本であると思います。精神療法・心理療法の各方法論について述べた本は多くありますが、このような人と人の出会いとしての「面接」の本質について論じた本は少ないと思います。
精神科医になって5年目くらいに出会った本ですが、未だに読み返してみることがあります。初めて読んだときにショックを受けた「心の専門家のいろいろ」という章の一部を抜粋します。
「第一に、人を理解することに理論も技法もあり得ないと悟り、ただ、自分の心を武器にして、面接室に閉じこもる面接者がいる。…………残念ながら、社会性を失ったところに専門性は成立しない。」
繰り返し自分に言い聞かせ、襟を正すきっかけを与えてくれる本です。