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禁煙とアンガーマネジメント


禁煙……私はこの言葉を聞くと今でも体が震えます。

タバコをやめてから14年もたつのに、まだ夢の中でタバコを吸ってしまうのです。そして、「吸ってしまったあ!」と後悔の気持ちで目を覚まします。たぶん、一生治らないと思います。

止めるときにも、そうとう苦労しました。さっきゴミ箱に捨てたのに、5分後には後悔の気持ちで、そのゴミ箱を漁っているのです。なんか……やばいな、と思っていました。

今回、ご紹介する論文の題名は次のようになっています。

“Effects of an Anger Management and Stress Control Program on Smoking Cessation: A Rndomized Controlled Trial”

アンガーマネジメント(怒りとの付き合い方を学ぶ心理療法)とストレスコントロールプログラムの禁煙への効果: ランダム化比較対照試験

目的はアンガーマネジメントとストレスコントロールを行った場合、通常の禁煙プログラムと比較してどれくらい効果があるか調べることです。

まず、なぜ怒りやストレスに注目したか、という点に関しては、これまで依存症と怒り/ ストレスに関する数多くの研究があり、それらの深い関係を示しています。

結果は以下のようでした。

①まず禁煙への直接的な結果以外の心理的評価(怒りの尺度、自信の尺度、絶望の尺度)において、通常のプログラムでは変化がなかったのに対して、アンガーマネジメント/ ストレスコントロールを加えたグループでは改善を認めた。

②禁煙できた割合(6か月後に調査)においても、アンガーマネジメント/ ストレスコントロールを加えたグループでは44%、通常プログラムでは27.4%と、大きな効果を認めた。

もちろん統計的な有意差(効果の違い)は認められているのですが、この20%近い開きは患者さんの苦痛の軽減として実感されるはずです。

この論文中に示されている統計では、禁煙した人が6か月以内に再度喫煙する割合は75%にものぼります(私の実感としては、低すぎるように思います)。

今回の論文は、物質への依存には感情やストレスとの付き合い方が大きく関係していることを示す結果でした。

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