家入一真さんが、レンタルサーバー業の起業から始まる、浮き沈みの大きい自分の人生を赤裸々に語っています。
巻末の著者の紹介には以下のように書かれています。
「起業家。1978年福岡生まれ。中学校時代のいじめがきっかけでコミュニケーションが苦手になり、高校を中退後、本格的なひきこもりになる。独学でプログラミングを習得し、『誰にも会わずに仕事がしたい』と企業を決意。2010年、自宅でレンタルサーバー『ロリポップ!』をリリース。(中略)2008年にはJASDAQへ当時最年少(29歳)で上場。……」
この本の他にも『ぼくらの未来のつくりかた』などでも知られ、供託金をクラウドファンディングで集めての東京都知事選出馬など、社会的活動でも注目を集めました。
エッセイや自叙伝は、自慢よりは失敗談のほうが面白く感じます。人の上手くいった話よりは、ひどい目にあったという体験談の方が興味深く読むことができます。
この本の中心は、前半の成功が崩れ落ちていく過程にあります。絶頂が華やかであったからこそ、後半の惨めさ、苦汁をなめる日々の描写が際立ちます。
そして、どうしようもない状態でも家入さんを見捨てなかった周りの人の情け深さにしみじみします。おそらく多くの人が、家入さん本人よりは周りの人が「すごい!」という印象を持つのではないでしょうか?
全体を通して、情感はありながらも淡々としていて、後悔も、申し訳なさも、情けなさも、悔しさも、率直に、すっと置くように書かれているように感じました。
ちょっ参っているときに読むと救われた気持ちになる一冊です。