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対人関係療法入門ガイド 水島広子著


一般の方で対人関係療法という心理療法について聞かれたことのある方のほうが少ないと思います。

アメリカでうつに対してエビデンス(治療効果があるという証拠)が明らかだとされているのは、認知療法とこの対人関係療法があり、かなり以前から摂食障害への効果が高いことでも知られています。

この本の特徴を述べる前に、若干対人関係療法の概観(本書冒頭より一部を抜粋)をさせていただければと思います。

基本:「症状と対人関係問題の関係」を理解する

※症状の原因を対人関係のみに求めるものではない。原因については多元モデル(様々な原因の影響を想定したモデル)を採用

対人関係問題に対処する方法を見つけることで、症状に対処することを目指す。

特徴として以下の項目があげられています。

・期間限定である

・焦点化されている

・現在の対人関係に取り組む

・精神内界ではなく対人関係に焦点をあてる

・認知ではなく対人関係に焦点を当てる

・パーソナリティは認識するが治療焦点とはしない

・技法ではなく戦略が重要

私自身は主な方法として対人関係療法をとることはまれになっていますが、一時期「これからはこれでやっていこう」という気持ちになっていたことがあり、今でも影響が強く残っていると思います。

少しやりづらさを感じて離れてしまったのですが、実際非常に有効で、対人関係に焦点化することで、幅広い症状に対応可能である点や対話を重視した温かみのある治療法である点に魅力を感じています。

この本は題名の前に「臨床家のための」と書かれており、一般向けとは言い難いとは思います。ただ、概略を理解した後に、実際にどのように患者さんと会話を進めていったら良いのか、具体的な点にまで言及されており、非常に実践的なテキストであると思います。

対人関係療法に本気で取り組んでみようと思われる方にはとても助けになる本であり、おすすめです。

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