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「うつ」は漢方でなおす 森下克也著


著者は漢方を主として、西洋薬も必要に応じて使い分けている心療内科医で、現在の精神科医療に大きな問題を感じています。

まず、最初から現在の精神科医療に対する批判から始まり、心療内科の本来の意味について解説を行っています。攻撃の意図が強いわけでもなく、批判の内容は当然と思われるものです。

特に身体的な配慮を行わない看板だけの心療内科が多い点を憂えて、うつ病の症状としてよく見られる体の症状について詳しく解説を行っています。

前半部分では、漢方の基本的な知識をまとめ、「証」を合わせることなど、漢方を出す上では当然ではありますが、実際にはあまりきちんと行われていないポイントについて、重要性を説かれています。

中盤以降の、事例を中心とした部分が特に参考になりました。

具体的な方剤選択の考え方や使用法が示されており、発症までのエピソードにも言及されていました。そうした情報の助けもあって、患者さんの顔を想像しながら、漢方の効き目を印象付けることができました。

「うつ」に関連する病態の漢方治療に関して、多くの点で示唆に富んでおり、処方にまつわる物語として読んでも楽しい解説書でした。

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