非定型精神病について
更新日:2022年7月17日

今日は患者さんから質問があった「非定型精神病とは何か?」について説明させてください。
もともとは定型的な精神疾患とされている「統合失調症」、「躁うつ病」、「てんかん」のいずれにも属さない非定型の病像をもつ疾患であるという意味で名づけられました。(立場①)
それに対して満田久敏は、上記の立場①のような中間的な疾患としてではなく、統合失調症とも、躁うつ病とも異なる独立した疾患として「非定型精神病」という疾患を提示しました。(立場②)
以下は最近再評価されている立場②をとりながら説明をさせてください。
独立した疾患単位としての「非定型精神病」は、以下のような特徴をもつとされます。
(The concept of ‘atypical psychoses’: Special reference to its development in Japan)
・発症が急性 ・予後は比較的良いが、再発の傾向があり、周期性の経過を辿る。 ・病像は多彩で、情動性障害、精神運動性障害あるいは意識変容を基本症状とし、活発な幻覚妄想体験を伴った錯乱ないし夢幻様状態を呈する。 ・情動性や精神運動性の障害には相性の特徴があり、「躁 - うつ」、「恍惚 - 苦悶」、「興奮 - 混迷」、といった両極間での変動がみられる。 ・病前性格は現実指向性で、几帳面、熱中型、他者配慮性。 ・遺伝負因を持つものが多い。 ・初発や再発では、誘引を契機とすることが多い。