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MDMAが協力を促進するかもしれない


以前にもMDMAが心的外傷の治療に有効であるという内容の論文を紹介しました。

MDMAは規制対象の薬剤ですが、「愛の薬」とも呼ばれるように特徴的な共感促進作用があるようです。

今回はこの点に注目した論文についてご紹介します。

MDMAが「囚人のジレンマ」において信頼できる参加者への協力や社会的認知に関わる脳の活性を促進する

「囚人のジレンマ」とはゲーム理論において、全体としては協力した方が良い結果になるのに、協力しない者が利益を得る場合では互いに協力しなくなるという状態(ジレンマ)を意味します。このような場合には、お互いの協力を促進することが集団全体の利益につながると思うのですが、今回はこの過程をMDMAで促進できないかという動機が働いたようです。

結果としてはMDMAにより、確かにお互いの協力が促進されました。しかし、興味深いことにこの協力促進は元々、信頼をおけるという判断をしていた相手にしか促進されないということが示されました。

どうも、この薬剤は単なる興奮や多幸をもたらすわけではなく、確かに他者との関係性の質を変化させる作用があるようです。

一度は臨床的な応用価値が低いと判断された歴史がありますが、精神療法との組み合わせで一定の成果を示しているデータもあり、今後医療的な価値がさらに発見される可能性があるように思われました。

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