麻酔薬(ケタミン)の抗うつ効果
- もりさわメンタルクリニック
- 2018年12月16日
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かなり以前からになりますが、麻酔薬に分類され良く知られた薬剤である「ケタミン」の抗うつ効果が指摘されていました。
すでに、海外では難治性のうつ病に限定的に使用されている状況です。
呼吸を抑制する副作用がなく、麻酔薬の中では安全性の高い薬剤ですが、現時点では作用で未知な部分も多く、また乱用の問題や血圧上昇など循環に対する影響もあり、その使用が全面的に推奨されているわけではありません。
少し前の論文ですが、このケタミンのメタアナリシス(複数の論文を統合してより信頼性の高いデータを導こうとした分析)があったので、ご紹介したいと思います。
うつ病に対するケタミン投与:システマティックレビューとメタアナリシス
ケタミン投与は①単独で行われる場合と②電気けいれん療法(難治性うつの改善目的に行われることがある療法)の導入として行われる場合があります。
まず、①の場合のうつ病192人、躁うつ34人を含む調査ではそれまで薬物治療に抵抗性だった患者を含めて大きくうつ状態を改善していました。また、②の場合で、ケタミンを用いた集団とそうでない集団を比較したところ、ケタミンを用いた場合の方が、うつ状態の改善効果の高いことが明らかになりました。
しかし、ごく少数ですが、効果の継続期間を調べた研究があり、その効果の持続は2~3日と限定的でした。
結果をみる限り、通常の薬物治療の効果のない場合に、現在の重度のうつ状態を乗り越える方法として短期間の効果をねらって使用することは考えられるかもしれません(リバウンドがないのか気になるところです)。
現時点では、あらゆる治療を試みた上で、他に選択肢がない場合に限って検討されるべき治療法であり、これから使用がすすむことが望ましいか判断が難しい方法であると思われました。
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