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アルツハイマー病の幹細胞治療


幹細胞という様々な細胞に変化し得る細胞を用いて疾患の治療を行うことを、「幹細胞治療」と呼んでいます。

最も一般的には骨髄移植における適用が知られていますが、現在インターネットで検索すると美容目的のものが急増していることが分かります。

幹細胞が持つ、あらゆる細胞に分化し得る「多能性」という性質から、幹細胞治療の応用範囲は広く、現在、神経変性疾患、循環器疾患、糖尿病等への適用に向けて研究がすすめられています。

今回は神経変性疾患の一つであるアルツハイマー病の幹細胞治療に関する特集記事をご紹介します。

アルツハイマー病に対する幹細胞治療

アルツハイマー病に対する幹細胞治療は現在2つの臨床試験が終了し、9つが進行中です。様々なタイプの幹細胞が用いられ、投与方法も静脈注射、皮下注射、頭蓋内投与が試みられています。

上記の通り、幹細胞は様々な細胞に分化し得るので、多くの機能が期待されますが、アルツハイマー病治療において特に望まれているのは、細胞間相互作用の調整に関する働きです。

特に幹細胞治療により、神経細胞と「グリア細胞」と言われる神経の周囲に存在する細胞との相互作用を促し、神経そのものや神経接続の再生に貢献できると言われています。その他にも炎症誘発作用のあるグリア細胞の抑制、抗炎症作用のあるグリア細胞の活性化、不活化している星状細胞の活性化など、全体としてアルツハイマー病の原因となるアミロイドβ蛋白の蓄積を抑制し、神経細胞の再生を促す方向を促します。

現在行われているアルツハイマー病に対する治療が進行の抑制を目的としているのに対して、幹細胞治療は上記のように神経細胞そのものの再生を含んでおり、より根本的な治療法と言えます。

非常に可能性を感じる治療法ですが、現在ごく初期の段階にあり、実用までには長い時間を要すると考えられます。

現在、私たちにできるのは、このような根治的な治療法の実用を待ちつつ、日常生活の中で先日お伝えしたような危険因子:①うつとストレス、②肥満、③高血圧、④糖尿病、⑤身体的低活動、⑥喫煙、⑦知的低活動の7つをできるだけ減らし、現在実用化されている進行抑制のための治療法ができるだけ早期に開始できるようにすることであると思われました。

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