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ADHD薬の副作用について


ADHD薬の副作用として、食欲の低下・睡眠障害・頭痛・吐き気などが知られています。

現在この種の薬剤のうち、「中枢刺激薬」に分類される薬剤が有効率が高いとされています。日本ではメチルフェニデート(商品名:コンサータ)が用いられていますが、アメリカではアンフェタミンがより多く用いられる傾向があります。

これらの「中枢刺激薬」の仲間でどのように副作用が異なるのかという資料は少ないのですが、今回は、特に副作用の中でも精神病症状の起こりやすさという点に的を絞って比較した研究をご紹介します。

ADHD患者におけるメチルフェニデートとアンフェタミン使用による精神症状

2004年から2015年にメチルフェニデートかアンフェタミンを服用した13歳から25歳のADHD患者22万人程が分析の対象となりました。

結果として、薬剤投与後60日以内に精神病症状を認める割合はメチルフェニデートで0.10%、アンフェタミンで0.21%と、およそ2倍のリスクがあることが示されました。

アンフェタミンとメチルフェニデートはともに神経接合部のドーパミン放出を促進し、ドーパミントランスポーターの働きを阻害することによって、ドーパミン量を増加させますが、アンフェタミンはメチルフェニデートの4倍のドーパミン放出促進効果があり、それに対してメチルフェニデートはドーパミントランスポーターの阻害効果が主となります。同じ「中枢刺激薬」とは言っても、このようなしくみの違いがあり、上記のような結果に結びついている可能性も考えられます。

日本で使用されているのはメチルフェニデートなので危険性は比較的少ないのですが、「中枢刺激薬」を処方するときには、一応、双極性障害や急性精神病性障害を含む精神疾患の既往や家族歴、物質関連障害の既往等、精神病症状を発症するリスクについて留意する必要があると思われました。

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